Element.02:bect

視覚と触覚で捉える方向

このInteraction Elementは触覚や視覚で方向を認識することができるデバイスです。 方位磁針のように方向を指し示し、伸縮性のある柔らかい膜が押し出されることによって、手の平で方向を把握することができます。

Concept

柔らかい膜が押し出される「むにゅっ」という動きを用い、視覚や、他者に手の平を押されているような触感覚で「方向」を認識できることを目的としています。

Approach

このElementはゴム製のボールを握りしめた時に「むにゅっ」とする動きのユニークさに着目し、その動きを何かに活かせないかという視点からスタートしました。アイデアの段階で試行錯誤した結果、「むにゅっ」という動きを新たな「方向を示す表現」として用いる案が生まれ、製作を行いました。そこで3Dプリンターを用いてパーツの設計・作成やマイコンへのプログラミングといった作業をメンバー間で横断的に行いました。

Mechanism

このElementは図のように基盤部と回転部、二つの半球体で構成された外装、回転部を覆う伸縮性のある外膜で構成されています。また回転部は基盤上部に固定したステッピングモータで制御しています。操作に関してはProcessingで製作した簡易的なGUI(Graphical User Interface)を用いて行なっています。目的の地点にたどり着くまでの方向をステッピングモータに伝達し続け、回転部の向きを制御しています。回転軸に取り付けたラックアンドピニオンはM5StickCと組み合わせて、外膜を押し出すように設計しています。伸縮性のある外膜には、軟質のウレタン樹脂を用いています。このウレタン樹脂は非常に粘着性のある素材のため、ベビーパウダーを塗布して、粘着性をなくし、肌触りを滑らかにしています。

Future Work

今後はスマートフォンの位置情報などと連携させることでいきたい場所や会いたい人の方向がわかる、ナビゲーションデバイスのような展望をイメージしています。水平方向のみならず、垂直方向に360度回転できるようにすることで、全方位を表現することが期待できます。また小型のマイコン、モータを使用することで、場所を選ばず設置・運用することが望めます。柔らかい膜を押し出している、ヘッド部分に関しても、様々な形が考えられアプローチをする余地があります。