Element.03:POP UP SHELF

本の探索・取り出しに、新しいフィードバックを

このInteraction Elementは、直感的な操作によって本からのフィードバックを体験できる本棚です。本に手をかざすと、そこを中心として、山なりに浮き出します。POP UP SHELFは本の探索に新たなフィードバックを与えるだけではなく、本を手に取るきっかけとなることを目指して製作しました。

Concept

本棚に並んでいる本を指でなぞって探す経験をしたことはあるでしょうか。このElementは本からのフィードバックを作り出し、まるで自分が本を操っているような感覚を与えます。また、本からのフィードバックにより、新たな本を手に取ることを誘発することも目的としています。

Approach

この本棚のアイデアの素となったのは、マウスオーバしたアイコン箇所がポップアップされる機能です。私たちは、現実世界でもこのようなわかりやすいフィードバックができないか、と考えました。この考えを実現するため試行錯誤した結果、POP UP SHELFの案が生まれました。最初に、コマ撮りによって本の動きを再現し、最終段階を見据えた本の動きとその構造について考察を行いました。その後、役割分担をして製作を行いました。

Mechanism

POP UP SHELFはArduinoを使って、距離(ToF)センサ、サーボモータ、ステッピングモータを同時に制御しています。本棚の端に設置してある距離センサが手の位置を読み取り、ヘッド部(本を押し出す機構)が移動します。移動する際に使用しているのが、ベルト駆動によるレールとステッピングモータです。距離センサから得た数値をArduinoで処理し、ステッピングモータが回転します。それによって、ベルトが動き、手の位置までヘッド部が移動します。その後、サーボモータによって本を押し出します。本棚全体30度傾いていることで、浮き出した本が重力により戻る仕組みとなっています。また、本棚の外装はシンプルに仕上げ、本が浮き出る様子がより強調されるように設計しました。

Future Work

動作音の軽減と動きの高速化を行うことで、より直感的でかつ快適な操作を実現できると考えられます。また、このアイデアは本や資料等の書類、DVD等のディスクケースなどの様々なリスト化されたモノへ応用が考えられます。今回はこのアイデアを実現させるために、ひとりのみの操作に絞って製作したため、距離センサ、レールとヘッド部の仕組みを採用しました。計測方式として、距離センサの代わりにモーションキャプチャを使用して手や指先の動きを認識し、レールとヘッド部を複数のシリンダによって制御することで、複数人での操作や、ジェスチャーによるフィードバックの様々なパターンが実現できると想定されます。